こんにちは、ライブドアブログ編集部です。
関西のお笑い番組さながらの独特なノリで大人気の絵日記ブログ「ワタシの独擅場」。今回、管理人のワタシさんがお住まいの国から一時帰国されると聞き、「♂♂ ゲイです、ほぼ夫婦です」管理人の歌川たいじさんとの対談をセッティングさせていただきました!

ワタシさん&歌川さん
奇遇にも自画像が似ているワタシさん(左)と歌川たいじさん(右)

波瀾万丈な人生を笑いと根性で乗り越えてきた二人


――今回は、ワタシさんが対談相手として歌川さんを指名されたんですが、歌川さんにお願いしたのはどうしてなんですか

ワタシ:やっぱり大物ブロガーで、独自のジャンルを築いておられるじゃないですか。アメブロの頃から見させていただいてましたし、対談させていただけるんなら歌川さんにぜひ会ってみたいとなって。

歌川:ありがとうございます! ちなみにどんなところを気に入ってくれたんですか?

ワタシ:キミツさんの邪悪なところとか(笑) あと、私は同性愛者の方と関わる機会が多いけど自分は異性愛者でわからないことが多いから興味深い。

歌川:僕はワタシさんのブログを見ると、なんか、自分と共通するなにかがある感じがするの。当事者しかわからない何かをいっぱい抱えながら、みんなと仲良くしたいっていうふうに生きてきた感じが。
帰国するって聞いて、たぶん誰かと対談するんだろうなと思ってたんだけど、ブログの内容からして僕しかいないわねって(笑)

ワタシ:(笑)

歌川:対談の連絡が来て「あ、はい(知ってた)」みたいな(笑) ああいうあからさまなのってなかなか絵日記ブロガーの中にいませんよね。小出しにする人はいるけど、なかなか全開にする人っていないの。

ワタシ:(笑)日本離れて17年ぐらいたつから、奥ゆかしさみたいな感覚がもうなくなってる。たぶん、ずっと日本に住んでたら歌川さんに会いたいってことすら言えなかったと思うんですけど、今はもうそういうのはあんまりない。

歌川:いや、もうおとといタックスノット(※歌川さんが昨年まで週に1回バーテンをされていたバー)に来て5分で全開になってましたから。

ワタシ:大暴れ(笑)

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ワタシの独擅場「歌さんの正体」より

――初対面の印象はどうでした?

歌川:笑わせることに対してオフェンシブ(攻撃的)! まず相手をつっついてみて、その反応で次の手を考えてる感じ。

ワタシ:恥ずかしいから分析しないで(笑)

歌川:「人気のあるブロガーさんなんだよ」ってバーのお客さんにブログを紹介しようとすると、「見んといてください! お願いやから見んといてください!」って(笑)

ワタシ:ブログは人の反応が欲しくてわざとオフェンシブな言葉を使ったりするので、読み返して「バカな子みたい」って思うことがいっぱいあってすごい恥ずかしいんですよ!

歌川:ワタシさんのブログは始まった当初は写真が中心で「今日のネイル」「今日の指輪」「今日のコスメ」みたいなお上品な感じだったけど、絵日記に切り替えて正解ですねって思った。ブログって、自分の中にあるものを吐き出したり叩きつける場所だったりするでしょ。ワタシさんの持っているものは写真じゃ吐き出しきれないと思う(笑) 

ワタシ:だって私、おしゃれ売りはできへんもん! 最初はしようとしてたけど、できへんかったの(笑)

歌川:今回の対談のためにワタシさんのブログを読み返してみて「あ、この人はいろんなものが降ってくる中で生きてきたんだな」と思って。僕もそういうタイプの人生だったから自分と近いものを感じた。

ワタシ:うん、そういう意味でもお話してみたかったんですよ。

歌川:お互い、いろいろな試練が降ってくる中で必死に生きてきた感じがする。降ってくるものをエネルギーに変換してやろうっていう野蛮な欲求が感じられる。最初からそうしたいと思ったわけじゃなくていろいろ対処してきた結果でしょ?

ワタシ:そうそう! 海外に行ったのもほんまになりゆきですし「こうなっちゃった」って感じ。嫌なことも泣くことも「クソ野郎!」って思うこともいっぱいありましたけど、自分はいろんな意味でラッキーだったなって思う。

歌川:僕もそう。でも、ラッキーだと思えるまでにまたいろいろあるよね。


20代は自分にうそをつくけど、それができなくなる40代からがおもしろい


――歌川さんが、自分をラッキーだと思えるようになったのはいつ頃ですか?

歌川:う~ん、30代後半ですね。差し引きでなんだかプラスになってきたなっていうのがそれぐらい。20代の時ってまだ、これが自分なんだってことを受け止めきれなかったし、自分にいっぱいうそをついてた。他人にはうそつかないんだけど「人としてこうしなきゃいけないんだ」とか、自分にはうそついてたのね。ところが、40代ぐらいになってくると、「ごめん、腰痛いから残業できない」とか、他人には平気でうそつくんだけど、自分には絶対うそつかなくなったの。「こんなに働かされるの、アタシ無理っ、あっかんべぇ」みたいな(笑)

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♂♂ ゲイです、ほぼ夫婦です「不惑」より

ワタシ:自分のリミットがわかってくるからね。私も20代の頃は「自分はもっとできる!」みたいなのがすごくあったし、「結婚しない」「バリキャリ」「男なんて日替わり」みたいな40代を目指してたけど、今の自分は真逆ですもん。自分のリミットがわかったときにこうなってしまった(笑) でも、人生って振り返ってからしかわからへんなって思うので、50歳ぐらいになったときに「わかったようなこと言うとったけど、わかっとらへんかったで!」って言うと思います(笑)

歌川:いろんな人のブログ読むけど、おもしろいなって思うコンテンツはそこを越えてる人のものの方が多い。「ほんとはそう思ってないでしょ?」とか「それどっかで聞いてきた話でしょ?」とかそういうんじゃなくて、うそ偽りのない本音が書いてあるから。

ワタシ:私の場合、こんな性格なんで全員に好かれようとは思ってないんですよ。「なにこの人!」とか言う人がいても、私はそれで行かないと自分が自分でなくなってしまう。

歌川:うん、ワタシさんのブログはそういう潔さがある。それに比べたら僕は「歌川たいじは嫌いでも、『♂♂ ゲイです、ほぼ夫婦です』は嫌いにならないでください!」みたいな感じかも(笑) でも、ワタシさんのブログはギリギリだからおもしろいのよね。

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ワタシの独擅場「今年、心に残ったあの人」より


バブルの頃、日本はお祭り騒ぎだった


――ワタシさんのブログには昭和の話がよく出てきますが、お二人はバブル時代の思い出とかありますか?

ワタシ:私もともと田舎の子やし、バブルが弾けてからのかわいそうな子だから実はあんまり知らない。

歌川:僕はバブルの頃は新入社員だったから、止まらないタクシーをつかまえに行く係で、全然恩恵にあずかってません。

――でも歌川さん、大手企業にいたからいろいろすごかったんじゃないですか?

歌川:
あの頃は、ホテルの同じ部屋に1万円で泊まるプランと5万円で泊まるプランがあったら、5万円で泊まらないとダサいって言われてるような時代だった。なにかが狂ってる感じ。でも、ほんとにウハウハだったのは不動産業界と金融業界の人。あと、その人たちから甘い汁を吸ってる謎の商売女とか(笑) リッチだったのは大抵その3種類で、他は結構普通だったんじゃないかな。

ワタシ:普通じゃないよー!

歌川:確かに、アッシーとかメッシーとか、そんな言葉がはやったよね。女の人は、女だっていうだけでものすごい価値がある感じではあった。僕はゲイだったからノンケたちがやってるバブリーな感じとはちょっと距離があって。バブルはノンケたちがやってたちょっと変な時代って印象。90年代中盤にゲイブームが来て、そっからがおいしかったの。

ワタシ:90年代だとバブルのちょっと後ぐらいやね。

歌川:そう。バブルが終わってから、ゲイパレードとかが始まって、今までずっと差別されてたけど時代変えていけるよね! みたいな気持ちになれた。同じように感じてた同世代のゲイはたくさんいると思う。

――バブルのよかったところと嫌だったところってどんなところでした?

歌川:まず、バブル自体がすごくインチキくさい時代だったのね。音楽でも、ワム! の「ケアレス・ウィスパー」とかマドンナの「パパドントプリーチ」とか大ヒット曲が出たら、日本の歌謡界がこぞってそれをパクるみたいな。そういうのを口うるさく言う人があんまりいなくて、表現欲求のある人はパクリでも何でもワーってやってお祭り騒ぎにできちゃった。インチキくさいのも、まぁそれはそれでおもしろかったですけどね。

ワタシ:ね、お祭り騒ぎだったと思いますね。

――インチキくさい反面、自由だったんですね。

歌川:その一方、僕なんかは新人でずっと営業だったから、会社から「バブル景気なんだからこんだけ売れ!」って言われて毎日、深夜まで残業。当時ワープロとかもまだ普及してなくて、手書きでお客さんに「ご無沙汰しております。近々またご挨拶に行かせてください」みたいな手紙をえんえんと書いたり。

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♂♂ ゲイです、ほぼ夫婦です「バブルの記憶 太陽にほえろ篇」より

――すごい! 郵便ですか?

歌川:そうそう。一方で、金融と不動産の人はウハウハで。でも、バブルが弾けてから自殺者が年間3万人を越えるようになって、その多くが中小の不動産経営者だったらしい。

ワタシ:へぇ~、回らなくなって?

歌川:うん。なんというか、そういうバブルの闇の部分が強く印象に残ってますね。あとはなんだろうな。そう、バブルの頃って演歌的なものからポップス的なものに移り変わる時代だったの。で、僕らがちょうどその転換期にいて、前の世代のつくったものは全部古いものって思ってて。大人との間で分断があったんだよね。今って、子どもと親が同じ音楽聴いてたりするじゃないですか。僕らの世代でそれはありえなかったの。大人のつくったものに対して反発するとか無視するとか、それが普通だって空気があった。いいとか悪いとかじゃないんだけど、今の若い子はそれが全然ないように感じるときがあるの。

――確かに。親世代がポップス聴いたりマンガを読んだりとかなかったですね。

歌川:僕のサイン会にも親子連れが来るんだけど、僕らの時代に高校生の男の子がお母さんにつきあっていっしょに来るなんてまずありえなかった。でも、今の若い子は親といっしょにディズニーランド行くからね。

――ほんと違いますよね。

歌川:全然違う。バブルの頃は、僕らは新人類って呼ばれて「古いものをぶっ壊してこれから新しいカルチャーをつくっていけるんだ」っていう希望はあったかもしれないね。でも、こんなこと言っといてアレだけど、僕は当時の若い子より今の若い子の方が好き。

ワタシ:なんで?

歌川:おじさんを仲間に入れてくれるから。僕が20代のとき、40代のおじさんを飲みに誘うなんて、まずなかったですね。金づるにしたい時以外は(笑) でも今の若者は普通に「歌くんもカラオケ行く?」とか誘ってくれて、おごってあげようとすると「え! なんでおごるんすか?」なんて言われたりする。その代わり、仕事の指示とかに対して「それ意味わかんないっす」とか、ヤケにはっきり言われちゃうこともあるけどね(笑)

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いろんなものが降ってきちゃう人生


――お互いのブログで気になった記事はありますか?

歌川:最近のワタシさんのブログで一番インパクトあったのが、帰国して高級ホテル泊まったりしてるのに、岡山の高床式住居にわざわざ泊まりに行った話。もう家の中全体がカビてるみたいなところで。

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ワタシの独擅場「泊まった宿は最悪でした」より

ワタシ:すっごい汚かったの! でもなんか行っちゃうのよ。
大学生の頃は日本中をヒッチハイクして野宿しながら旅したり、佐世保米軍基地に不法侵入したり。ゲートに黒人のごっつい米兵が2人立ってて、すごい見られたけど入れたんですよ。せっかくだからコインランドリーで洗濯させてもらおうと思って行ったけど、ドルしか使えないからあきらめて帰ったっていう。

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ワタシの独擅場「女一人旅 in 九州1」より

――(笑)かっこいい。

歌川:試練が降ってるところに飛び込んでっちゃう人生なのよ(笑) その高床式住居も、1泊1万5千円ぐらいするのに、ものすごい汚いの。僕泊まれないよ、そんなとこ逃げ出すよ。このエピソードが端的にワタシさんの人生を表してる。

ワタシ:でも、歌さんもアンテナ張ってません? ほとんどの人が気づかずにスルーしてしまうところでも、歌さんの中ではストーリーができてたり。

歌川:僕、小さいときから何か起きると戯画的に変換するクセがあって。人に話すときに盛ってるって言われるんだけど、つまんなく聞くよりはおもしろく聞く方がいいでしょみたいな。

ワタシ:私もそう。おかんも「あんたが言うとおおげさになる。子どもの頃から赤毛のアンみたいなおおげさな子で怖かった」って言ってます(笑)


ブログを書くのはエネルギーがいるけど、吐き出したいことがあるならやっちゃえ!


歌川:ワタシさんは好きで読んでるブログとかある?

ワタシ:まめさんの凡人すたいる! あの人、めっっさおもろいねんけど! あの人おもろいわ~!!! あとは、むらこさんとか、イッチャマン

歌川:僕、ライブドアブログに引越してから他の人のブログをよく見るようになって。公式じゃないブロガーさんのブログに日参したりしてます。さといもくんとか、ガチデブ観察日記とか、男性ブロガーはまだまだ少ないからがんばってほしいなって思う。まあ、読者さんは子育て中の女性とかが多いからブロガーさんも女性が多いんだろうけど。

ワタシ:海外に住んでる私なんかから見ると、日本人男性の働き方はハード過ぎて、ブログを書けるほどのエネルギーがある人ってかなり限られてると思うんですよね。

歌川:うん、そうなのよね。でも、子育てもすっごいパワーの要ることで、その片手間で育児ブログやってたりするんだから、やっぱり吐き出したいことがあるんだったら男性も「やっちゃえ!」って思う。普段、ネイティブの言葉で話せない海外にいる人とかも溜まってることとか多いと思うから、書いてみてほしいし読みたい。


山あり谷ありの人生を裸一貫で乗り越えてきた同志といった感じのお二人。終始笑いっぱなしで、なんだか生きるエネルギーがじわじわと湧いてくる対談でした。
お二人のブログもぜひチェックしてみてくださいね!


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